言われた通りに僕はその隣に座った。僕が持たされていたペットボトルを二人の間に置くと、奈々さんは丸いお菓子の入ったビニール袋の封を開いた。そして、その中から一つを取り出すと、それを僕にくれた。
「これがサーターアンダーギー、沖縄風ドーナツといったところかな」
僕は手の中のそれを少し眺めてから噛りついた。確かに美味しかった。
「あと、こっちの飲み物はさんぴん茶、まあ、ジャスミンの入ったお茶なんだけどね」
奈々さんに言われて、僕はキャップを開け、一口飲んでみた。少し渋めの味はサーターアンダーギーの甘さと相性が良かった。
僕たちが店の前で穏やかなティータイムを過ごしていると、左手からガイドブックで見た乗り物がやって来た。水牛車だった。水牛の頭の左右から、それぞれ一本ずつ突き出た長い角はまるで一つの弓のように見えた。水牛が引く車は三角の屋根を持った長屋のような形をしていた。車の先頭にいる御者は三線を爪弾きながら「安里屋ユンタ」を口ずさんでいた。
水牛車が目の前をゆっくりと通り過ぎてゆく様を僕はじっと眺めていた。この島の時の流れは都会よりも遅い気がした。
「水牛車、乗ってみたいの?」
「これがサーターアンダーギー、沖縄風ドーナツといったところかな」
僕は手の中のそれを少し眺めてから噛りついた。確かに美味しかった。
「あと、こっちの飲み物はさんぴん茶、まあ、ジャスミンの入ったお茶なんだけどね」
奈々さんに言われて、僕はキャップを開け、一口飲んでみた。少し渋めの味はサーターアンダーギーの甘さと相性が良かった。
僕たちが店の前で穏やかなティータイムを過ごしていると、左手からガイドブックで見た乗り物がやって来た。水牛車だった。水牛の頭の左右から、それぞれ一本ずつ突き出た長い角はまるで一つの弓のように見えた。水牛が引く車は三角の屋根を持った長屋のような形をしていた。車の先頭にいる御者は三線を爪弾きながら「安里屋ユンタ」を口ずさんでいた。
水牛車が目の前をゆっくりと通り過ぎてゆく様を僕はじっと眺めていた。この島の時の流れは都会よりも遅い気がした。
「水牛車、乗ってみたいの?」