「行くよー?」




俺の準備が済んだのかと思ったらしく、姉貴はそう言いながら部屋を出ていく。




「待って。ピアス変えてくる」




それに、俺は静止をかけた。


服に関しては無関心だが、アクセサリーに関してはこだわりがある。


自分のアクセサリーがたっぷりと入った箱を手に、二階の洗面所に駆け込むと鏡とにらめっこを始める。




五分ほどしてやっと満足した俺はベッド横の棚に丁寧にアクセサリーケースを置くと、一階へ駆け下りた。


ついでに、いつもはおろしている前髪はワックスで後ろに流しておいた。




「お。チェーンピアスにしたんだ。て、え。今日は舌ピもつけたんだ」




見せびらかすように耳のチェーンピアスをシャラシャラと鳴らせ、べーと舌を出す。




「我が弟ながら完璧すぎる。エロい。さりげない肩出しもグッジョブ!」




タンクトップの上に来ているシャツはオーバーサイズですぐにスルリと肩から落ちてしまう。


だから、もう気にしないことにしているのだが、どうやらそれが姉貴には刺さったようだ。