「これ、あげる。どうせほとんど観賞用みたいになるんだから、使ってくれる人が持ってたほうがいーでしょ」




桃の花のイヤーカフを挟んであった厚紙から取って、自らの手で鷹司の耳につけた。


鷹司の頰が更に赤みを増した。




「イヤーカフ、なんて、初めてつけた……」


「これなら穴開けなくてもいいだろ。学校につけて来いよ」


「いや、でも……」


「いーよ。別に、校則じゃないし。なんか言うやついたら俺が追っ払ってやる」




鷹司から緊張が伝わってくる。


何か言おうと口を開こうとすれば、鷹司が先に音を発した。




「……ありがとう。大切に、使う」


「……っ! あぁ……」




ふわりと柔らかい笑みが視界に溢れ、不覚にもドキッとしてしまった。


いくら顔が綺麗だとはいえ相手は男だぞ、と自分に言い聞かせながらさり気なく視線をそらす。




「? 鷲崎?」


「っ!」




不思議そうに顔を覗き込まれて大きく後ろにのけぞる。