「へぇ……。エライね。手伝い、なんて」


「将来、自分のことは自分でなんとかしたいし、そのためにためとくのも悪くないかなって」




あまりにも鷹司らしい理由に、思わず表情が緩んだ。




「鷲崎も、そういう格好が意外……っていうか。そんなキャラだったっけ」


「学校では猫かぶってるだけ。……てか、なんで俺ってわかったの」




鷹司の意外そうな声にクスと笑って返すと、今一番の疑問を投げかけた。




「声に聞き覚えあったのと、その綺麗な黒髪。決定打は顔立ち。いつもと違うけど、面影はあるし」


「顔でバレたのか。じゃあワンチャン他のクラスメイトにもバレてるのかなぁ」


「んー。正直、バレてないと思う。いくら同じ鷲崎とはいえ、想像と真反対すぎるし。俺は、名前呼ばれたから誰かと確認しようとしたわけだから」




そう言う鷹司の視線が耳に向いた。




「……ん? ピアス? ……いいでしょ。これ、去年姉貴が選んでくれたやつ。で、これが五月くらいに自分で選んで買ったやつ」