「しかも、一ノ瀬財閥の息子ってことは、御曹司だもんね!ほんと、あこがれちゃう」
な、なんだ、このモテすぎる空間は!?俺にも少しでいいから、分けてほしいほどモテている。
許せない......。
「うわぁ、なんだこれ。すげぇ、空間。熱すぎる」
「お前、ほんと、呑気だな。そんなことよりも、俺に一ノ瀬とやらの存在教えてくれ」
「はぁ?お前なんにも知らねぇの?それでも、この学校の生徒か?」
少し、バカにした表情で斉藤が煽ってくるが、無視する。いつもは、つっかかっているけど、今はそんなことをしている場合じゃない。
「まぁ、いいけど。簡単にプロフィール紹介してあげる」
斉藤は一度、考えをまとめるように、数秒おいてから、口を開いた。
「一ノ瀬奏。一ノ瀬財閥の社長の息子、つまり、御曹司。才能ゆえか、もう仕事を任されていて、学校に来るのは一ヶ月に数回。容姿と性格、そのハイスペックさから女子にモテまくる。ちなみに、去年のチョコレートの数は五十八個」
とても詳しく、簡潔にまとめられている情報で、だいたい一ノ瀬とやらのことがわかった。とりあえず、俺の敵であることは十分に知れた。去年のチョコレートの数という、いらない情報まで斉藤はくれたけど。