「好き」






 ___一瞬、聞き間違いだと思った。


 だけど、奏の笑顔で、嘘じゃなかったのだとわかり、俺は涙が溢れてきた。



 「___っほんと?」


 「好きだよ、律夏」


 もう一度、奏は噛みしめるように言った。


 「あのときの続きしてもいい?」


 俺は何度も、何度も、頷いた。


 気づいたときには、唇は重なっていて、俺は奏の服にしがみついた。


 「もう、”お試し”恋人じゃ終わらせない。俺のもの___だから」


 「俺だって、お試しの彼氏なんて言わせない___」


 お互いに目があって、微笑み合う。




 「好きだよ、律夏」


 「好きだ、奏」



 俺達はもう一度、唇を重ね合った____。