次の瞬間には、奏の腕の中にいた。





 「ねぇ.......律夏?今の___ほんと?」





 言われて、俺は真っ赤であろう顔を隠すために、奏に顔を押し付けた。


 「ばーか。俺が嘘なんかつくわけないだろ!」


 「だよね___昔から、ね。リツくんは嘘つかないからね」


 今度は俺が驚く番だった。リツ......って、俺の、昔の___


 「俺は覚えてるのに、当のリツくんは覚えてくれてなかったんだからな」


 「まって、お前、まさか___」


 「ソウ......だよ?」


 まさか、こいつが___昔の仲の良かった”ソウくん”だとは思わなかった。


 「ありがとう、まえの猫のキーホルダー。ずっと、肌見離さず持ってるんだけどなぁ?」


 「うっ.......俺も......だけど」


 今更考えると、過去の俺って恥ずかしいことしか言ってなかったはずだ......!こいつは、すべての黒歴史を知っているってことであってるだろうか......。