「なあ、さっきからどうしたんだよ、松波?」


 「それな。死にそうな顔してるけど。絶対なんかあっただろ」


 どうやら、俺は斉藤と中島にそう言われるほど、やつれているらしい。


 別にそんなつもりは一ミリもなかったから、心外と言えば心外だし、なんとなく予想していた部分もある。


 そう思いながら、自分でどっちなんだよ、とツッコむ。


 「死にそう?俺が?なにかの間違いだろ」


 「あーそうですか。じゃあ、鏡見てから、もう一回同じこと言ってみ」


 三好に言われて、ぐっと俺は言葉に詰まった。確かに、鏡を見たら、同じことは言えないかもしれない。


 あーあ、なんでこんなことになったんだろう。こうやって、クラスメイトに指摘されるほど、俺がやつれた理由はただ一つ。


 ___ご察しの通り、一ノ瀬奏のせいである。


 「なんとなーく、最近わかってきたんだけど。あれだろ、一ノ瀬のせいじゃね?お前がこうなったの」


 びくっ。思わず肩が跳ねてしまうほど、斉藤の指摘は鋭かった。


 「な、な.......」


 「だってさぁ、あの日、一ノ瀬に堂々と嫌いって言ってから、様子おかしいし、松波」