なんとなくわかってはいた。だって、授業中は律夏のことを観察してるから。


 ころころと変わる表情がかわいくて、おもしろくて、愛しくて。


 その百面相は特に英語と数学のときに多い気がしていたから、苦手なのではないかなと勝手に推測していた。


 「そっか、じゃあそれやろうか」


 「......ありがと」


 こうやって、素直に礼を言うときも少し、ツンツンした言い方になる。


 本当にかわいいからやめてほしい。


 俺は律夏といると、本当におかしくなる。かわいくて仕方がなくなったり、律夏ならなんでもしてあげたいと思ったり。


 こんなことを思えるのは律夏だけ。だから、大切にしたい。


 ___お試し契約がずっと、ずっと、続きますように。


 そんな叶わない願いを、俺は星に向かって、つぶやいた。