「ああ、どうかしたのか?」
俺が聞くと、律夏は少し迷ったような表情で考えてから、口を開いた。
「.......勉強、教えてほしい」
その言葉を聞いた瞬間、俺は思わず笑ってしまった。
「わ、笑うなよっ!頭のいいお前にとってはちっぽけかもしれないけど、こっちは本気で困ってるっつーの!」
「べ、別に、律夏が勉強できないことがおもしろかったんじゃなくて。そんなことをがんばってお願いしてきたから、かわいくてつい」
勉強なんていくらでも教えるし、家に来たら、なんでもしてあげようとは思っていたから、別に苦だと思わない。
むしろ、嬉しいまである。こうやって、律夏がお願いしてくれることに___甘えてくれることに。
「なにがピンチ?」
俺が聞くと、律夏はまた頬を赤らめる。
律夏はツンデレな節がある。急にツンツンし始めたかと思えば、今のように顔を赤らめて恥ずかしがったり。
見てるこっちはかわいいで埋め尽くされるから困ったものだ。
「えっと......英語と数学」