友達がいないというのは悲しいものである。俺が御曹司というだけで他の人間は近寄らなくなったらしい。あくまでも律夏によると、だけど。


 俺が固まったことに気づいたのか、律夏も俺の思っていることを察したようで、謝ってきた。


 「そうか。別に言ってもいいが。人によっては驚く人もいるだろうな」


 「そうなんだよ〜だから、相手までは話してない」


 俺は独占したい。本当は誰にも見てほしくない。


 律夏は本当に友達との距離も近いから、心配になるときがある。


 でも、俺達は好き同士で付き合ってるわけじゃないから。俺の独占欲をぶつけるわけにはいかない。


 「___奏?なあ、奏!」


 やばい、思い出に浸りすぎて話しかけられたことに気づかなかった。


 「わ、悪い。なんだ?」


 「え、えっと、八月の奏の家に行く話なんだけど」


 律夏は恥ずかしいのか、少し顔を赤くしている。.......かわいい。


 てか、今の話で赤くなることあったか?