しかも、先生!?これは言い逃れできないぞ......!


 俺は顔がさぁーっと青くなっていくのを感じた。助けを求めるように視線を上げると、一ノ瀬と目が合う。すると、一ノ瀬の口がまかせろ、と動いた。


 とりあえず、こいつに任せてみるか。どうやってこの状況を切り抜けるかわからないけど。


 「こんなところで.......まさか」


 「先生。今、世界史の先生に教材の運び込みを頼まれていたのですが、たまたま転んでしまいまして。助けたところに先生が.......という流れです」


 明らかに悪い方向に誤解しかけた先生に、一ノ瀬が流暢に嘘をつく。


 よかった.......たまたま、この教室が教材を置いている部屋で.......。


 てか、一ノ瀬もすごいよなぁ、こんな嘘がすらすらと出てくるなんて。


 「そ、そうか?ならいいが。気をつけろよー」


 「はい。ご心配かけて、申し訳ありません」


 こいつ、演者かなにかであってるだろうか......?こんな状況で申し訳なさそうな顔できるのって、演者ぐらいだろ。


 先生もちゃっかり騙されちゃってるし。まあ、うまく騙されたみたいでよかったけど。