俺は、バッグを持つと、走って教室を出た。


 ◇◇◇


 「お、来たか」


 「遅くなって悪い」


 指定の空き教室に行くと、すでに一ノ瀬は椅子に座っていた。


 「じゃあ、ここに来い」


 一ノ瀬がポンポンと叩いたのは、一ノ瀬の膝の上だった。


 「え、はぁ!?なんで、そこっ」


 「だって、予行練習するんだろ?」


 「うっ、まあそうだけど」


 これは、予行練習、予行練習......。そう言い聞かせて、俺は一ノ瀬の上に座る。


 なんだよ、この絵面......ひどいだろうな。


 「重い.......よな」


 「いや、全然。むしろ軽い。食べてるのか?」