急にがばっと椅子から立ち上がった俺を、クラスメイトの視線が突き刺さるが、気にしない。


 「そうやって油断する心がいけないんだ、わかるか!?そんなに油断してたら、いつの間にか可愛い子たちには、彼氏が出来てくんだ......」


 「わかった、わかった。すぐ、興奮するんだから。いったん座りな」


 斉藤にたしなめられ、俺は渋々、座る。なぜか、俺とよく話しているやつらは、俺の扱いが日に日にうまくなっていっている気がするのは気のせいか?


 「な、松波。世の中、そんな可愛い彼女がすぐできるほど、うまく出来てねぇんだわ」


 「わ、わかるけど。じゃあ、どうしたらいいんだよぉ」


 これは、社会問題では?可愛い彼女ができない問題について。


 斉藤は少し考えてから、俺のほうをまっすぐ見つめて口を開いた。


 「少しだけでも、どっしり構えてみろ。なんでもかんでもアタックすればいいわけじゃない。いつか、いい運に巡り会えるからな。焦るな、松波」


 「......。わかった、お前の言うとおりにしてみる」