俺の言葉を遮って後ろから声をかけてきたそいつ。姿を見なくてもわかる。
一ノ瀬だ。
バカみたいに俺は思考が停止して、言葉に詰まってしまった。
さっきの出来事が脳内再生される。自分が不愉快になるようなことを言ったやつのチームに入るなんて普通言うか......?
ありがとう、もおかしいだろうし、大丈夫だっていうのもおかしいだろうし......。
俺の頭の中でぐるぐるといろいろな単語がまわる。
すると、だんまりとしている俺にしびれをきらしたのか、一ノ瀬のほうから声をかけてきた。
「人手が足りないんだろ?試合が始まるから、早く行くぞ」
「う、ええっ!?」
腕をしっかりとつかまれて、そのまま引きずるように連れて行かれる。
なんで急に腕とかつかむんだよっ?びっくりするじゃねぇか......。
まあ、試合を一緒にするだけだから、特に会話も起きないだろうし、気にする必要はないか。
そもそもこいつ、あんまり学校来ないって言ってたしな。明日にはもう居ないだろ。
そんなことを思っていると、試合開始のホイッスルが鳴った。