頬が赤くなっていくのを自覚しながら、教科書を拾う。視線をあげるときに、心配そうな顔をしている斉藤と目があった。


 くそ、あいつのせいでなにもかもがうまくいかない。もしかしたら、魔法でもかけているんじゃないかと、くだらないことを思う。


 そう一ノ瀬を呪いたくなりながら、俺は教科書を読み始めた。


 そのとき俺は気づかなかった。___こちらを見つめるあいつの視線に。


 ◇◇◇


 社会が終わり、次の時間は体育だった。体育は嫌いではない。むしろ好きな方だ。


 「気をつけー、はじめまーす」


 今日の日直、(もり)のだるそうな号令で体育が始まる。


 「じゃあ、今日はバレーボールをやるぞー。何回か、中学でやったことがあるんじゃないか?まあ、とりあえず練習からやっていく」


 「はーい」


 バレーボールのチームにはいつも仲良くしている斉藤、三好(みよし)中島(なかじま)がいる。


 メンバーのほかの三人も全然話さないわけではないため、よかった。


 そして、チュートリアルのような練習時間が終わり、試合の時間だ。