今日は荷物が一段と多い。月末ということも相まって、僕が運転するトラックには、スペースぎりぎりの量の荷物が積まれている。ぎりぎりといったが、乗り切れなくて、営業所に残してきた荷物もいくつかある。昼すぎに一旦戻り、再び現場まで運んでくるのだ。
 僕は特別仕事ができるわけでもないから、業務をうまく遂行させるために、いつも何かを犠牲にしている。例えば、休憩時間を削って配達をするとか、食事を抜くとか……。
 そうでもしないと、一日の仕事が終わらず、家に帰れないかもしれないのだ。家に帰れないのは百歩譲って別にいいとしても、仕事が終わらないのは嫌だ。
 トラックを停めて車外に出る。途端に灼熱の空気が僕の体を包み込む。年々、夏の暑さはその勢いを増して僕たちに襲いかかってくるような気がするけれど、気のせいだろうか。僕が子供の頃は、もう少し過ごしやすかったように思う。太陽は、僕たち人間の体中の水分を吸い尽くそうとしているのかもしれない。
「あっちいなあ、もう」
 そんな独り言をこぼしながら、僕はトラックの荷台に飛び乗り、大口の荷物を台車に乗せていく。どんなに暑くとも、僕は一人で、このトラックに乗っている荷物を全部捌かなければならない。

 営業所に戻ったのは昼の二時前だった。助手席には、飲み干した二リットルの水のペットボトルが投げ出してある。荷台に残った荷物と、営業所に残した荷物の量を見て、僕は久しぶりに社員食堂に行こうと思い立った。朝、トラックに積み込まれていた荷物の量は多かったけれど、汗を拭く暇すら惜しんで配達に勤しんだおかげで、少し時間に余裕がある。荷付き場に残されていた荷物を全部トラックに乗せた後、僕は駆け足で社員食堂へと向かった。