このところ、久城さんの店に、毎日配達がある気がする。決まって、夜の時間指定がついているから、一日の最後に伺うことになる。店が開いていれば必ず荷物を配達できるから、その点ではありがたい。
トラックを降り、久城さん宛の荷物を荷台から持ち出し、僕は店の裏口から「カラー運輸です!」と声をかけた。グラスが重なり合う音が耳に飛び込んできて、その後すぐに「はあい」と久城さんの声が聞こえてきた。僕の姿を確認した彼女の表情が綻ぶ。
「いつもありがとう、アキトくん」
最近の久城さんは、第一印象からは随分とかけ離れた言動をしてくるようになった。僕のことを名前で呼び、配達のたびに世間話をしてくる。
「ありがとうございます、ではこちらにサインを」
僕は彼女の距離の縮め方に戸惑いながら、他人行儀な姿勢を崩さない。
「アキトくんは、いつアタシの店に来てくれるのかなー」
伝票にペンを走らせながら、久城さんはそう言った。
「最近、毎日来てるじゃないですか」
僕の返答に、久城さんはぷっと笑う。「お仕事じゃない時、よ」
ああそうかと、僕は心の中で考える。僕がこの店に来ることによって、多少なりとも売上が上がるだろう。自分の店の儲けに貢献しろと、久城さんは言っているのだ。
「き、機会があれば……」
僕は苦笑いを浮かべて、伝票を受け取った。久城さんは笑みを崩さず、僕の手を取る。
「またね、アキトくん」
「ありがとうございました」
僕はそう言って、足早に店を立ち去った。
トラックを降り、久城さん宛の荷物を荷台から持ち出し、僕は店の裏口から「カラー運輸です!」と声をかけた。グラスが重なり合う音が耳に飛び込んできて、その後すぐに「はあい」と久城さんの声が聞こえてきた。僕の姿を確認した彼女の表情が綻ぶ。
「いつもありがとう、アキトくん」
最近の久城さんは、第一印象からは随分とかけ離れた言動をしてくるようになった。僕のことを名前で呼び、配達のたびに世間話をしてくる。
「ありがとうございます、ではこちらにサインを」
僕は彼女の距離の縮め方に戸惑いながら、他人行儀な姿勢を崩さない。
「アキトくんは、いつアタシの店に来てくれるのかなー」
伝票にペンを走らせながら、久城さんはそう言った。
「最近、毎日来てるじゃないですか」
僕の返答に、久城さんはぷっと笑う。「お仕事じゃない時、よ」
ああそうかと、僕は心の中で考える。僕がこの店に来ることによって、多少なりとも売上が上がるだろう。自分の店の儲けに貢献しろと、久城さんは言っているのだ。
「き、機会があれば……」
僕は苦笑いを浮かべて、伝票を受け取った。久城さんは笑みを崩さず、僕の手を取る。
「またね、アキトくん」
「ありがとうございました」
僕はそう言って、足早に店を立ち去った。