皮膚の調子を整える外用薬として自然派思考の化粧品やハンドクリームにも使われているし、もっと昔には、傷ついた皮膚や粘膜を修復し保護すると考えられ、薬や消毒液として扱われていたこともある。
「火傷を治すならヤロウよりこっちの方がいいということか。ミオ、俺が辺りを警戒するから急ぎ採取してくれないか」
「分かった」
ミオはリュックを下ろしその口を大きく開くと、花きり鋏でオレンジ色の花をどんどん摘み取っていく。使うのは花弁だ。
背の高い草に隠れているけれど、かなりの数のカレンデュラが群生してた。
(領主様の土地で勝手に採取するなんて、下手すると大問題になるわよね)
今更ではあるが、ミオに向けられた嫌悪の視線を思い出し、自分の無謀さ加減に呆れる。
「これは私の一存でしていることだから、ジークはこの場に居なかったことにしましょう」
唐突の言葉に、ジークは周りを警戒していた目をミオに向けると、思いっきり眉間に皺を寄せた。らしくない。その顔にははっきり不満の、いや怒りが滲んでいる。
「断る。俺はここに自分の意思で来ている」
「でも、騎士団にも迷惑をかけることになるかも」
「俺が責任をとる、だから今はそんなこと気にしなくていい」
少しは俺を頼れ、とジークは思う。ドラゴンから守るはどの力量はないが、守られるつもりはさらさらない。
そもそも領主の娘を助けるために森に入ったミオが罰せられるなどあってはならぬこと。一介の騎士の身分でできることなど知れているが、身を挺してでも守るとジークは森に来る前からそう決めていた。
ガサリ。
草を踏む音に身構え振り返ったジークの顔から、一瞬にして険しさが消えた。ホッと息を吐き僅かに警戒を解く。
「ドイル隊長!」
「ジーク、無事だったか」
真っ赤な返り血を全身に浴び頬や腕に傷や火傷を作りながらも、平然と周囲を威圧するドイルが草むらから現れた。
「ドラゴンがもう一匹出ました。でも、勇者が現れて……」
「分かっている。ミオの家の方から咆哮が数度聞こえ止んだ。リーガドイズが来たんだろう」
まるで来て当然とでも言いたげだ。
こうなることが分かっていたかのようなさらりとした口調に、ミオはカレンデュラを摘む手を一瞬止めるも、すぐに移動し採取を続ける。
(……勇者の腕にも火傷はあったけれど、大丈夫かな)
「火傷を治すならヤロウよりこっちの方がいいということか。ミオ、俺が辺りを警戒するから急ぎ採取してくれないか」
「分かった」
ミオはリュックを下ろしその口を大きく開くと、花きり鋏でオレンジ色の花をどんどん摘み取っていく。使うのは花弁だ。
背の高い草に隠れているけれど、かなりの数のカレンデュラが群生してた。
(領主様の土地で勝手に採取するなんて、下手すると大問題になるわよね)
今更ではあるが、ミオに向けられた嫌悪の視線を思い出し、自分の無謀さ加減に呆れる。
「これは私の一存でしていることだから、ジークはこの場に居なかったことにしましょう」
唐突の言葉に、ジークは周りを警戒していた目をミオに向けると、思いっきり眉間に皺を寄せた。らしくない。その顔にははっきり不満の、いや怒りが滲んでいる。
「断る。俺はここに自分の意思で来ている」
「でも、騎士団にも迷惑をかけることになるかも」
「俺が責任をとる、だから今はそんなこと気にしなくていい」
少しは俺を頼れ、とジークは思う。ドラゴンから守るはどの力量はないが、守られるつもりはさらさらない。
そもそも領主の娘を助けるために森に入ったミオが罰せられるなどあってはならぬこと。一介の騎士の身分でできることなど知れているが、身を挺してでも守るとジークは森に来る前からそう決めていた。
ガサリ。
草を踏む音に身構え振り返ったジークの顔から、一瞬にして険しさが消えた。ホッと息を吐き僅かに警戒を解く。
「ドイル隊長!」
「ジーク、無事だったか」
真っ赤な返り血を全身に浴び頬や腕に傷や火傷を作りながらも、平然と周囲を威圧するドイルが草むらから現れた。
「ドラゴンがもう一匹出ました。でも、勇者が現れて……」
「分かっている。ミオの家の方から咆哮が数度聞こえ止んだ。リーガドイズが来たんだろう」
まるで来て当然とでも言いたげだ。
こうなることが分かっていたかのようなさらりとした口調に、ミオはカレンデュラを摘む手を一瞬止めるも、すぐに移動し採取を続ける。
(……勇者の腕にも火傷はあったけれど、大丈夫かな)



