煮沸を終えた瓶に、カレンデュラの花びらと植物油を注いでいく。半透明の液体にオレンジ色の花弁が舞い、こんな状況でなければ綺麗だと眺めていたくなる。
「この瓶を湯煎するの。そうだ、煮沸した湯を再利用しましょう、一から沸かすより時間が短縮できるわ。ジーク、鍋の湯を三分の二ぐらい捨てくれない?」
「あ、あぁ。分かった」
いったい何をする気なのかと思いつつ、たっぷりと湯が入った鍋を軽々と掴み上げ、瓶が十センチほど浸かる量になるよう湯をシンクに捨てた。
「今回は、カレンデュラと植物油を混ぜ湯煎するの。そうすれば一時間ほどで成分を浴出することができる」
「そんなことが可能なのか?」
「ええ。でも火加減をずっと見ていなきゃいけないから結構手間なのよ。時間はかかるけれど、ほぼ放置でいいヤロウ軟膏の作り方の方が楽だわ」
ヤロウ軟膏は試作品でもあり、急ぐ必要が無かったから手間がかからない方法で作ったけれど、今回はそんなこと言っていられない。
鍋の底に瓶を四本並べる。一度に出来るのはこれが限界。カレンデュラの量から考えて十二本はできそうだ。
「悪い遅くなった、問題なかったか?」
カラリと鳴るドアベルの音と一緒にエドが現れた。赤色の癖毛がところどころ血で額に張り付いていて、ミオはギョッと目を見開く。
「こっちは無事だ」
「……なんだか平和な光景だな。いや、火傷の薬を使っているのは知っているけれど。よかったら持ち場、変わるか?」
「断る。不器用で大雑把なお前に任せられるか」
「ちぇ、なんかいいとこ取りしてないか。リーガドイズ様にも会ったんだろう」
「あぁ、また命を救って貰った」
ジークが小さく微笑むと、エドは真剣な顔で頷いた。
「生きていて良かった。ミオちゃんも怪我はなさそうだね。外は任せておいて、俺強いから」
「俺の方が強い」
「いや、張り合うならお前が表を見ろよ」
ここで俺を牽制するな、とエドは胡乱な目でジーク一瞥すると「じゃあな」と手をひらひらさせながら扉から出ていった。
エドのお陰でジークが作業に集中できるようになったので、作業を分担することに。ミオが侵出油を作り、ジークはそれを蜜蝋と混ぜ空の瓶に流し込む。
瓶が全て一杯になったのは日付も変わるころ。途中、魔物の叫びが何度か遠くから聞こえたけれど、朝までに全ての魔物は退治された。
「この瓶を湯煎するの。そうだ、煮沸した湯を再利用しましょう、一から沸かすより時間が短縮できるわ。ジーク、鍋の湯を三分の二ぐらい捨てくれない?」
「あ、あぁ。分かった」
いったい何をする気なのかと思いつつ、たっぷりと湯が入った鍋を軽々と掴み上げ、瓶が十センチほど浸かる量になるよう湯をシンクに捨てた。
「今回は、カレンデュラと植物油を混ぜ湯煎するの。そうすれば一時間ほどで成分を浴出することができる」
「そんなことが可能なのか?」
「ええ。でも火加減をずっと見ていなきゃいけないから結構手間なのよ。時間はかかるけれど、ほぼ放置でいいヤロウ軟膏の作り方の方が楽だわ」
ヤロウ軟膏は試作品でもあり、急ぐ必要が無かったから手間がかからない方法で作ったけれど、今回はそんなこと言っていられない。
鍋の底に瓶を四本並べる。一度に出来るのはこれが限界。カレンデュラの量から考えて十二本はできそうだ。
「悪い遅くなった、問題なかったか?」
カラリと鳴るドアベルの音と一緒にエドが現れた。赤色の癖毛がところどころ血で額に張り付いていて、ミオはギョッと目を見開く。
「こっちは無事だ」
「……なんだか平和な光景だな。いや、火傷の薬を使っているのは知っているけれど。よかったら持ち場、変わるか?」
「断る。不器用で大雑把なお前に任せられるか」
「ちぇ、なんかいいとこ取りしてないか。リーガドイズ様にも会ったんだろう」
「あぁ、また命を救って貰った」
ジークが小さく微笑むと、エドは真剣な顔で頷いた。
「生きていて良かった。ミオちゃんも怪我はなさそうだね。外は任せておいて、俺強いから」
「俺の方が強い」
「いや、張り合うならお前が表を見ろよ」
ここで俺を牽制するな、とエドは胡乱な目でジーク一瞥すると「じゃあな」と手をひらひらさせながら扉から出ていった。
エドのお陰でジークが作業に集中できるようになったので、作業を分担することに。ミオが侵出油を作り、ジークはそれを蜜蝋と混ぜ空の瓶に流し込む。
瓶が全て一杯になったのは日付も変わるころ。途中、魔物の叫びが何度か遠くから聞こえたけれど、朝までに全ての魔物は退治された。



