敵対する学校同士だからこそ学べるところがある。もちろんプロの演奏を聞くのもいいことだけど、私たちはまだ高校生。


歳の近い人の演奏を聞いた方がより刺激がある。そう思って、近くで定期演奏会を開いている高校がないか調べて練習の一環として先生に持ち込んだ。



「……やっぱり全国大会出場経験の学校はレベルが違うね」


「うん。しかもあの高校ほとんど毎年出てるんでしょう?人数も多くて、なんか今から間に合うかどうか心配になってきた」



……なんて声もチラホラ聞こえるが、私は気にしない。強い高校の音楽を聞いてどう捉えるかはそれぞれだから。


私は、いい刺激になったと思う。



「琴乃!ごめん、今日用事あるから先帰ってて!急ぎでしなくちゃいけないことあって」



先生との話を終え、一息ついていると華奈がそう謝ってくる。用事があるならしょうがない。



「わかった!先に帰ってるけど、今日言った課題をちゃんとしてきてよ!」


「了解!ありがとう、ごめんね!」



最近は部活に真面目に取り組んでいる華奈。それはみんな同じだけど、華奈はまた違ったやる気を見せていた。