目を瞑りながら、課題曲のメロディーを歌う。こんな風に、滑らかに歌うように奏でることが出来たらどんなにいいだろう。


……ねぇ、出雲くん。私、もう一度君と音楽を奏でたい。その願い、叶わないのかな……。


なんで吹奏楽から離れて行ってしまったの……?


私はそのまま意識を手放した。夢の中では、昔の出雲くんと私が楽しそうに演奏していて。


これが現実になればいいのに……なんて夢の中で思ったりしていた。


***


「はい。じゃあ今日の部活動は終わりです。学校外の解散だけど寄り道せずにまっすぐ帰ること。そして、次の練習まで自分のダメなところ、できないところ……今日聞いた音楽についてまとめてきて下さい」


「「「はい!お疲れ様でした!」」」



日曜日。


私たち吹奏楽部は、学校ではないところにいた。今日は休日部活で課外部活。先生に頼み込んで全国大会に進んでいる高校の定期演奏会を聞きに来たのだ。


流石に私や先生、外部講師だけじゃ追いつかなくてこうして勉強をしに定期演奏会に足を運んだ。