譜読みやパートごとなら何とか曲として吹けたけど合奏となればまた別の問題が浮き上がる。
どうしたものか、と頭を悩ませていた。
「……出雲くんだったらどうするかなぁ……」
無意識に出た言葉。
本当にふとした瞬間に出雲くんのことを思い出して、名前をつぶやく。中学の頃、出雲くんはホルンのパートリーダー、そして部長として活躍していた。
自分から色んなことに率先してやっていて、その後ろ姿をずっとみてきた。
出雲くんならこの状況どうする?
このどん底の吹奏楽部をどう大会の上位まで引っ張っていく?
そんなことを考えてしまう。
誰かに頼ってもしょうがないのに。それは分かっているのに。
……無性に、出雲くんを求めてしまうのはなんでだろう。
「……ダメだ。頭冷やそう」
なんか変な方向に考えがいきそうになって、立ち上がる。イヤホンを耳から抜き取り、ベットにダイブした。
やっぱり私じゃ、吹奏楽部を引っ張っていけないのかなぁ……。考えないようにしているけど、マイナス思考に陥ってしまうのは私の悪い癖のひとつ。
ここから、どうやって立ち直ろう。
出雲くん、どうしたらいい……?