だから成績はあまり問題ない。そこはお母さんもわかっている。


でも、部活の方針が変わったことで最近の私はずっと忙しくしていた。そのせいで疲れているのではないか、無理をしているのではないかとお母さんが心配するようになったのだ。


正直、鬱陶しいと思ってしまうことはあるけど基本部活も勉強も応援してくれている。


大会が終われば、塾に行ってもいいと約束までしてくれた。


……ただ、ここ数日間であからさまに変わった私をあまり快く受け入れていないみたいで。


ちょくちょく口を挟むようになった。



「……でも……」



ーーガラッ。



「ありがとうございました」



お母さんが何か言いたそうにしていると、突然目の前のドアが開き、中から人が出てくる。


人目を気にしてか、お母さんは口を閉じた。私は内心ほっとして、顔を上げる。


……だけど。


私は、ドアから出てきた人物を見て、上手く息ができなくなった。ドクドクと早鐘を打ったかのように、心臓が痛いほど鳴り響く。


だって、そこには……。


出雲くんがいたから。