中学の頃の出雲くんは天真爛漫で真面目な少年って感じだったのに。いったい何があったんだろ。


それに。


“音楽を楽しめる体じゃないから”。


あの言葉はどういう意味なんだろう。出雲くんのことを考えて、また頭の中にモヤがかかる。


1度晴れたはずなのに、悩みは尽きなくて。


また、悩みの種ができてしまった。



「とにかく。まずは大会に向けての練習。出雲くんのことは琴乃に任せた!じゃ、また明日!」


「あ、ちょっと華奈!」



ぼけーっと考え込んでいたら華奈はそそくさと話を切り上げて、私から離れる。


そしていつの間にか家の近くまできていて、華奈は家に続く細い道に入っていく。


切り替えの速さについていけなくなった私はそのまま置いていかれた。はぁ、とため息をつきながらそこから少し歩いたところにある自分の家に入る。


今日は色んなことがありすぎて疲れが溜まっていた。宿題と受験勉強をさっさと終わらせて寝よう。


そう思いながら自分の部屋に入った。


思ったよりも疲れが溜まっていて、制服のままベットへダイブする。