中学三年生の夏の大会で。


地方大会まで進んだけどあと一歩のところで全国大会への切符を切ることは出来なかった。


同じ苦しみ、同じ悔しさ。


その気持ちを一緒に感じた仲間とともに戦いたい。



「それは私も思うけど……。でも1回断られたんでしょう?前に琴乃言ってたじゃない」


「……うっ、まぁそうなんだけど……」



華奈に言われて言葉に詰まる。


実は前に華奈に話した。1度吹奏楽部入部を誘ったけど断られたって事。そしたら思いっきり笑われて。


なんだか無性に腹が立ったことを思い出した。



「でも、なんか押せばいける気がするの。出雲くん、まだ絶対に吹奏楽部への気持ちはある。絶対に本人を説得して一緒に大会に出てもらう!」


「……はぁ。最初に再会した時の琴乃とは大違いだね。完全に昔の出雲くんを思い出してる……。まぁ、頑張って」



意気込む私をよそに華奈はため息混じりの苦笑い。


きっと説得は無理だろう、と思っているはず。でも……。華奈は反対しなかった。出雲くんを勧誘することを。