先生は音楽室の隅に椅子に座り、みんなの様子を伺っていた。


華奈はというと、実はこの話し合いを反対していた。



『琴乃、どうしちゃったのよ。急に大会やる気になって!今更そんな話し合いしても全国大会は間に合わないと思うよ!?みんなも反対するに決まってる!』



大会の思いが本気になった私のことを最初は受け入れてくれなかった。


ここに来て、華奈と喧嘩するなんて思わなかった。華奈も音楽は楽しめればそれでいい。そう思っていたから戸惑ったのだろう。


同じ経験をして、同じ気持ちを何度も味わったのだから。



『だけど、私は決めたの。今からでも全国大会を目指したい。華奈、お願い。この話し合いに参加して!私、高校最後の夏にかけたいの!』



副部長の華奈が話し合いに参加しなければきっとグダグダなまま終わるだろう。


華奈の参加は必須だった。


必死に私の気持ちを話して、何度もぶつかって。ついに、華奈を説得することができた。


それで、今日がやってきたのだ。



「……これは大事な話し合いです。真剣に、考えてください」