……本当は、わかっていた。


先生が、部員の誰よりも大会に思いを馳せていたこと。


でも、いつしか大会への希望は無くなって。部員との気持ちがすれ違っていた。



「今更すぎて遅いかもしれません。でも……気持ちが固まりました」



俯きながら話を聞いている先生。


私の言葉を聞いて、顔を上げた。出雲くんと再会して。吹奏楽部への気持ちを思い出して。


大会への思いが、また膨れ上がった。



「私……みんなと、また全国大会目指したいです!全国大会いけなくても、地区大会、地方大会を突破して自分の自信に繋げたいんです!」


「二階堂さん……」



高校2年生から、あまりやる気の出なかった部活。悔しい思いをして負けを認めるくらいなら、辞めたいとも思っていた。


それでも、大会への気持ちは心の奥底にあって。それが、出雲くんに再会して爆発した。


もう一度、あの頃のように輝きたい。


ホルンという楽器を身にまとって、音楽を奏でて。みんなと最高の青春を送りたい。


部活が終わるまであと3ヶ月。


……いや、全国大会に行ってあと半年まで伸ばしてやる!