だけど、出雲くんに言われたことを思い出し自分の気持ちを1番に話してみようと、決意した。


このままではいけないことはわかっている。だからこそ、今がみんなと向き合うチャンス。


先生と話し合う、いいチャンスなのだ。



「二階堂さんは悪くない!ごめんなさい。私、理想ばかりあなたに押し付けてしまっていたわね。現実を見ないで、みんなに辛い練習ばかりさせて。私が顧問になってから、吹奏楽部の大会の成績がガタ落ちなのはわかっていたのよ」



しん、と静まり返る楽器倉庫の中。


今まで知らなかった、先生の気持ち、焦り、私たちへの想いが溢れてきていた。



「そのせいもあって、焦って。吹奏楽部で音楽が好きなのは私も一緒。だけど、私のせいでみんなからやる気を奪ってしまっていたのね」


「……」



申し訳なさそうに謝る先生はいつもより小さく見えた。


……悩んでいたんだ。


大会のこと、部活のこと。私たちと同じように。



「……そんなこと言ったら、私たちも同じです。練習が辛くて先生の指導に反抗して。先生が必死なのはわかっていました」