じーっと出雲くんを見ていたらふと音楽が止まり、睨まれる。


私は、慌てて顔を逸らし、空を見る。



「そ、そうだね。戻って先生と話してみるよ。あ、ありがとう!」



明らかに動揺してしまった私。


何とかこの場から離れようと中庭を後にした。


その間、ずっと心臓がバクバク鳴っていた。見てはいけないものを見てしまったかのような感覚になる。


あれは、もしかして……。


補聴器……?


いやいや、そんなわけない。


私は自分の見たものが信じられなくて。出雲くんの言っていたこと、見たものを忘れようとした。


自分の見たものが、真実ではありませんように……。


そう祈りながら、私は音楽室へと戻って行った。