一度外の空気を吸おうと、この前来た中庭に向かう。もしかしたら出雲くんがまたホルンを吹いているかもしれない……。
そんなことを無意識に思いながら中庭に向かって歩いた。
「……誰も、いない……か」
中庭につき、ドアを開ける。そーっと顔を出してキョロキョロと辺りを見渡すが誰かいる気配は全くなかった。
外の風が柔らかい。
暖かな風がサワサワと自分の前を通り過ぎていく。
「……気持ちいい……」
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
新鮮な空気が体の中に入ってきてとても心地よかった。
ーーガラッ。
「……え?出雲くん?」
深呼吸していると中庭に続くドアが開いた。後ろを振り向くと、そこには今思った人がいた。会って何をするとか考えていなかったけど。出雲くんの綺麗なホルンの音が聞きたくなった。
出雲くんは、ホルンを抱えながらビックリしたように目を見開き、私を見ている。
「なんでここにいるんだよ」
「……出雲くんこそ。なんでここに?またホルンを吹きに来たの?」
ぼそっと言われたその一言を私は聞き逃さなかった。この前の気まづい雰囲気はどこへやら。私は出雲くんに普通に話しかけていた。