微妙な空気が流れる音楽室。


涙が止まらなくて何度も何度も拭う。ホルンに落ちた涙は、キラッとひかり、そのまま流れ落ちた。



「……すみません、頭、冷やしてきます……」



このままじゃだめだと思った私はホルンをその場に置いて音楽室を後にした。少し頭を冷やして冷静にならなくちゃ……。


私だけ、取り残されたような感覚に陥って。廊下を歩きながら、涙を拭う。気持ちは落ち着いたはずなのに。


涙はとまらなくて。


ひたすらに、泣き続けた。


……悔しい。悔しい、悔しい。


泣くことしかできないなんて。自分の気持ちに甘えることしかできなくて。


先生の言ってることは間違ってないのに。本気で大会をめざない私たちが悪いことはわかっているのに。


受け入れられなかった。



「……なんで、こんなっ……」



放課後の学校は、色んなところから音が聞こえる。グラウンドからボールの蹴る後、生徒の掛け声。


部活動で使われている教室からは楽しそうに話す声。音楽室からは、吹奏楽部の音楽が聞こえるはずなのに。


……途絶えてしまった。