高校一年生の頃。一度本気で目指さないと思っていた全国大会の目標。だけど、高校に上がって、またみんなの思いがひとつになって。地方大会までいって、悔しい思いもして。来年はもっと上を目指してやるとも思っていた。
……なのに。先生のせいで、みんなのやる気を奪った。私も練習を適当にして。去年は地区大会止まりだったのに悔しいとも思わなくて。
そんな自分のことも嫌になった。
一度、吹奏楽部を辞めようかと思った。悔しい思いをして、先生の勝手な望みに付き合って。
こんなの楽しくない。
……だけど、自分からホルンをとりあげたら、何も無くなる。そう思うほど依存してしまっていた。ホルンを手放せないくらいに。
吹奏楽部は私の人生の一部で。なくてはならないモノなのに。
みんなから“楽しい音”を奪わないでよ!!
「……それは、その……」
いつも怒りを見せない私が初めて見せた涙と罵声。そんな私に先生は戸惑っていた。
それはみんなも同じだったようで。
ポカーン、と私のことを見つめていた。
「……琴乃?」
不意に華奈から名前を呼ばれ、はっと意識を取り戻す。