だけど、私は心にぽっかり穴が空いたような気持ちになって。


何も、感じることはなかった。


悲しいはずなのに。


何も思わないはずないのに。


……なんで、泣けないの……?



「ほらほら、さっさと歩く!ほかの学校の迷惑にならないように!」



顧問の先生だけは声を張ってみんなを動かしている。


みんな、悲しんでるんだよ……?


全国行けなくて、悔しいんだよ?


どうしちゃったの、私……。



「琴乃?泣いてないの……?」



必死にみんなについていると、仲間の1人からそう声をかけられる。


その言葉にドキッとする私。


その子は目を真っ赤に腫らして泣きじゃくっていた。その顔を見て、私は目をそらす。


だって……自分は泣いていないから。泣きたいのに泣けなくて、まるで涙が枯れたかのように、仲間と違って、目は乾燥していた。



「はい。それじゃあ詳しいことは後日話し合います。今日はゆっくり休んで疲れをとってね。ここで解散します」



少し開けた場所に来ると、先生はそう言って解散させた。