「二階堂!あなたがしっかりしなさいよ!なんで部長をやってるのか、分からないの!?先生、あなたの事を信じて部長に任命したのよ!?」
黙りこくっていると、先生が私に話を降ってくる。先生が言っていることは間違っていない。
でも。
そんなに私に押し付けなくても、いいんじゃない……?
イライラと溜まりに溜まっていた不満、怒り、みんなのやる気のなさに限界がきた。
やる気がなかったのは私も一緒。大会の成績なんて二の次で、楽しめればそれでいいと思っていた。
だけど……。そろそろ焦らないとやばいこともわかっている。わかっているけど、大会への希望が持てないのだ。どれほど上手く演奏しても大会の成績が良くなるなんて保証はないも同然。
そんな大会に、また青春を捧げるなんて……。
「……先生、去年の大会の成績って知ってますか?」
「え?」
今吹奏楽部の顧問として活動している先生は去年から指導している。一年生の頃は音楽に関してはかなり期待の持てる先生だった。他の高校でも吹奏楽を全国大会まで引っ張ったり、その一歩手前まで成長させたりと好成績を収めた先生だったのだ。
だから大会もそこそこいいところまでいって。みんな全国大会に希望を持っていた。
だけど、今の先生に変わってからは。
練習がグダグダになってしまった。希望だけ高望みで、みんなに無茶な練習メニューを押し付ける。前の年がかなりいい所まで行ったので、先生も全国大会レベルまで仕上げたかったのだろう。