なんか、本当に出雲くんって……。



「ねぇ。出雲くん、変わったよね」


「え?」


「……昔の出雲くんの方がもっとずっと優しかった。なのに、今は全然優しくない」


「……そうかもな」



昔の出雲くんを思い出して、少し意地悪く言ってみる。だけど私の言葉に反して薄い反応で返って来る。


その反応に何だか自分が悪いことをしたみたいな気持ちになって。これは怒りじゃない、八つ当たりじゃないと自分に言い聞かせた。


出雲くんは、目を伏せ、視線を下に落とす。


……何よ、本当のこと言ってるだけじゃない。今更そんな顔して、私が悪いみたいな……。



「じゃあまたね」



自分の言ったことにまた後悔しそうになって出雲くんから目を逸らす。


別に、悪いことを言ってるわけじゃないし……。


これ以上出雲くんといたらダメだ。そう思って保健室を出ようと回れ右をした。その瞬間、出雲くんの耳からキラッと何かが光るのが見えた。



「ん?」



一瞬の出来事でよく見えなかったけど、それが気になってもう一度振り返る。でも、出雲くんはもう前を向いて勉強を再開していた。


……気のせいかな?


確かに何かが光った。気になるけど私の気のせいかもしれないし。