その後ろ姿に見覚えがあって、恐る恐る名前を呼んでみる。


だけど、返事がない。



「出雲くん?だよね?」



この人は本当に出雲くんなんだろうか?とだんだん疑ってしまう私。疑問形で出雲くんの名前をもう一度呼ぶ。


……でも。


これでも、振り向かない。あれ?


私結構大きな声で呼んだよね?


自信がなかったのに、何も返事しない出雲くんにだんだん腹が立ってきた。


そして、勢いに任せて次はお腹から大きな声を出す。



「出雲くん!!」


「……うるさ。何?」



私の声が保健室に響いた。


その瞬間、迷惑そうに目を細め、後ろを振り向く出雲くん。その表情になんかムカついて。


乱暴に紙袋を前に出した。



「これ!先生に頼まれたから持ってきただけ。後、何回も呼んだのに返事しないのは人としてどうかと思うよ?!」



イライラして勢いに任せて言ってしまった。いい終わったあとにしまった、言いすぎたと思った。