だけど強く拒否されて、あっさりと断られる。……用事もあるって、そういえば今朝からなんか言ってたっけ。
「そんなぁ……」
「じゃあ頑張ってね♡」
話すだけ話して後はそそくさと行ってしまった。華奈も先生も身勝手すぎる。……いや、華奈はほとんど関係ないけど。
私は、重い体を引きずるようにして、保健室に向かった。今日も部活はあるから面倒ごとは避けたかった。でも理由をつけてサボれるからちょっとラッキー。
ザワザワと騒がしい廊下を抜け、1階にある保健室のドアを叩いた。だけど誰もいないのか中から返事は無い。
「……すみません……誰かいませんか?」
そーっとドアを開け、顔だけ中に入れて辺りを見渡す。保健室なんて高校生になってほとんど初めて。
あまり来ることないから変にドキドキする。
どうやら保健の先生はいないみたい。だけど、奥から鉛筆のカリカリという音がかすかに聞こえた。
奥に誰かいるのかな、と不思議に思いながら足を一歩踏み入れる。
ゆっくりと中に入った。
「……出雲、くん?」
すると、保健室の奥の机に座り、シャーペンを一生懸命動かしている1人の男の子がいた。