なんで私に頼むかな。先生は紙袋を私に押し付けるとそそくさとこの場を去っていった。


……もう。担任なんだから、自分でしっかり渡して欲しい。私じゃなくて学級委員に頼んでよ。


出雲くんは転校してきた昨日は教室にいたけど、2日目の今日、教室には現れなかった。


そのため、誰もいない机が教室の片隅にポツンと取り残されていた。


それが気になって今日授業中何度もチラチラと後ろを見てしまっていた。



「なーに、出雲くんのところに行くの?」


「わぁ!華奈!!」



はぁ、とため息をつきながら紙袋を覗いていると後ろから声をかけられた。びっくりしながら後ろを振り向くと華奈がニコニコと笑いながら見ている。



「そうだよ。……華奈も一緒に行く?」


「やーよ。私、今日用事あるから部活休むし。出雲くんに会っても絶対嫌な気持ちしか湧いてこないと思うのよね。この前の出雲くんの私への態度みたでしょ?」



出来れば華奈も一緒に行って欲しかった。