ドキドキしながらボールペンを握りしめ、司会の人の声に耳を傾ける。
たったの数分で、静かだったホールに、喜びの声、すすり泣く声、悲鳴を上げる声で埋め尽くされた。色んな感情がこのホールいっぱいに広がっていた。
ドキドキ、ドキドキと信じられないくらい早鐘を打つ心臓。
タラり、と冷や汗が流れ落ちる。
「代表は、県立第三中学校、県立彩華中学校、県立第6中学校。以上の三校が全国大会に進む、代表になります。皆様、本日は本当にお疲れ様でした。これにて、全日本吹奏楽コンクール、地方大会の日程を終了致します」
「「「……」」」
……え?
今、私たちの学校は、呼ばれ、なかった……?
全国大会へ進む学校を一気に発表し終わった。私は何が何だか分からないままぽかん、とステージを見ていた。
司会の人があっさりと幕の裏に引き返していく。私は、現実を受け止めきれなくて。理解できなくて。
頭が働かなくて、しばらく動けなかった。
「……はい、じゃあ撤収の準備するよ。今日はもう解散になるから、後日話し合いをします」
しばらくして、前の席に座る顧問の先生が立ち上がる。そう言ってみんなを立たせた。
周りを見渡すと仲間は俯いたり、泣いていたりしていた。