すると、私の苗字を呼ぶ声が廊下から聞こえる。私はなんだろう、と思いながら廊下に出た。



「あれ?先生、なんか用ですか?」



廊下には担任の先生がいて、私を手招きする。



「二階堂、すまんがこれを保健室にいる出雲に届けてくれないか?」


「……え?なんで、私?」



首を傾げながら先生に聞くと、申し訳なさそうに紙袋を私に差し出す。そして、とんでもないことを言ってきた。


なんで、ここで出雲くんが出てくるのか分からない。


なんで、出雲くんは保健室にいるの?



「だって二階堂と出雲、仲良いんだろ?この前話してる所をほかの生徒が見たって言ってたぞ?」


「……いや、今は別に……」



誰だよ、そんなこと先生に話したのは。


確かに出雲くんとは仲は良かった。でも、“今は”本当に向こうも友達、とかそんなことは思っていないと思う。



「なぁ、頼む!今日出雲保健室登校でまだいるはずなんだ。俺はこれから用事があってだな……。とにかく、よろしく頼む!」


「あ、ちょっと、先生?!」