先生はそう言って私に釘を刺す。
ほかのみんなもだぞー、とクラスメイトにも警告のようなものをした。
先生からの視線から逃れられてほっとする。椅子に座り、何も考えられない頭でなんの意味もなく教科書を眺めた。
授業なんて正直頭の中に入ってこなかった。……いや、これはいつもの事なんだけど、いつも以上に集中できなくて。
これも全部、出雲くんのせいだ。なんてこの場にいない人のせいにする私はどれだけ心が汚れているんだろう。
ーーキーンコーンカーンコーン……。
「はい。じゃあ今日はここまで。次回はこの続きするからなー」
長い数学の時間が終わり、学校終了のチャイムが鳴り響く。今日は数学が最後の授業だった。
日直の掛け声と共にありがとうございましたーという気の抜けた声でクラスメイトはみんな解散する。
ウチの学校は基本帰りのホームルームはないので最後の授業が終われば後は自由な時間。
部活に行ったり、バイトに行ったり、塾に行ったり。みんな忙しそうに放課後を過ごしていた。
「おーい、二階堂!」
私も部活に向かうため、片付けもそこそこにカバンに荷物を突っ込んでいた。