そして。


ーーブー……。


微かだけど音がなった。全然綺麗な音じゃないけど、自分の耳では綺麗な音に聞こえて。


これが、私の、初めてだした音だった。



「すごいじゃない!ホルンって金管楽器の中でも難しくてなかなか音が出せないのに。初心者で音を出せるなんて!」


「ほ、本当ですか?!」



私が音をだした瞬間、先輩たちは興奮したように話した。


その話が信じられなくて出雲くんを見る。


出雲くんはニコッと笑って見ているだけだった。だけど、なんだか嬉しくて。ドキドキが止まらない。



「じゃ、じゃあマウスピースを本体に取り付けて楽器を吹いてみて!」



私は言われるがまま、マウスピースを本体に取り付け、説明された通りに楽器を構える。


先輩たちみたいにかっこよく構えられなくてぎこちなかったけど。最高に楽しい瞬間だった。


私はまた、大きく息を吸って腹式呼吸を意識する。勢いよく、楽器に息を吹き込む。


ーープァーー……。