ドキドキと冷や汗が止まらない。


逃げ出したい気持ちでいっぱいだったけどもう後には戻れない。


……もう、いくしかない!



「し、失礼します……」



出雲くんの後ろに続いて教室の中に入る。すると、目の前にはホルンを抱えた5人の先輩達がいた。


ホルンはキラキラと輝いていて、掃除が行き届いているのが見て分かる。


先輩たちは、私を見ると明らかに楽しそうな表情になる。



「君、吹奏楽部入部希望の子?さっき見学してたよね?」


「……は、はい」



その中の1人の先輩が私に近づく。


目をキラキラさせながら私の手を取った。



「ありがとう!ホルンは人気がなくてねぇ。新入生がホルン希望してくれたら嬉しいなって話していたところだったの」



緊張しすぎてへー、とかそうなんですね、とかしか返事ができない私。


そんな私にも先輩は遠慮なく中に引っ張ってくれて。



「……今日は楽器体験だよね?是非是非この可愛いホルンに触れて、吹奏楽の魅力を知ってほしい!」



先輩はひとつのホルンを教室の後ろから持ってくると、私に差し出す。