「……ね、ねぇ!」
「ん?」
話題がなくなり、再び沈黙してしまった。何か話さなくては……と気持ちばかりが焦って。
何も話すことは決まっていないのに話しかけていた。
「あ、えっと……あの、な、なんで出雲くんは合奏に混ざっていたの?まだ一年生で仮入部期間だよね……?」
って、いったい私は何を聞いているんだろう。質問してから気づいた。もしかしたら答えにくい質問だったのかもしれないのに。
こういうところがダメなんだよ。
「僕はずっと音楽をやってきたんだ。親の影響もあるけど、幼稚園の頃からブラスバンドの活動をしていてね。音楽がずっと好きだった。それで、その途中でホルンに出会ったんだ。こんな繊細な音を出せる楽器があるんだって驚いて。だから僕は小学校の頃からホルンに夢中で」
私の質問に楽しそうに答える出雲くん。
失礼な質問かなと思っていたけど思いのほかしっかりと答えてくれた。
出雲くんはホルンのことが本当に好きらしく、小学生の頃から一途にこの楽器ばかり練習してきたらしい。