「わかりました。先輩達には教室で話します」


「ああ、頼む!私はこれから職員会議に参加しなきゃだからしばらく練習見に来れない。一年生を頼んだぞ!」



先生は彼に私のことを託すとそのまま音楽室を出ていった。


出雲くんははぁ、とため息をつくと顔を上げる。じっと見ていたせいか、目が合った。その時、何故かまた心臓がドキッと跳ね上がった。



「じゃあ、行こうか。同じ学年だよね?変に敬語使わなくていいから」


「は……じゃない。う、うん。よろしくね」



優しい声色で話す出雲くんはどこか大人びていた。多分誰にでもこんな態度なんだろうけど異性とあまり接する機会がなかった私は、勘違いしそうになる。


……いや、何を思ってるんだよ、私は。


これは部活。ただの部活。私はこれから真面目に吹奏楽部に入部するんだから。



「……ねぇ。君、名前は?そういえば名前まだ聞いてなかったね」



音楽室を出てしばらくした頃。