「言ってる意味がわかりません。とりあえず案内すればいいんですよね?」


「ああ、頼む!私はこれから職員会議に参加しなきゃだからしばらく練習見に来れない。一年生を頼んだぞ!」



あの若干怖めの先生に砕けた態度をとる出雲、くん?


なんか、色々肝が据わっていてすごい。


出雲くんははぁ、とため息をつくと顔を上げる。また、目が合って。何故かまた心臓がドキッと跳ね上がる。



「じゃあ、行こうか。同じ学年だよね?変に敬語使わなくていいから」


「は……じゃない。う、うん。よろしくね」



先生を見る目とは違って急に優しくなる出雲くん。多分誰にでもこんな態度なんだろうけど、異性とあまり接する機会がなかった私は、勘違いしそうになる。


……いや、何を思ってるんだよ、私は。


これは部活。ただの部活。私はこれから真面目に吹奏楽部に入部するんだから。



「……ねぇ。君、名前は?そういえば名前まだ聞いてなかったね」



音楽室を出てしばらくした頃。