長い髪の毛をポニーテールして、肩にはサックスを下げている。


その姿がとても大人びていてかっこよくて。女の私でも惚れてしまいそうになる。



「サックスパートリーダーの双葉です。よろしくね!」


「一年の九龍華奈です!今日はよろしくお願いします!」



私の隣で自己紹介し合う2人。


話がトントン拍子に進み、華奈は早速練習で使っている空き教室に行くことに。また後でねー、と手を振る華奈。


私も笑顔で見送った。



「……で、君はどうする?希望の楽器がなければ一つ一つ見て回れるけど」


「私、は……」



ポツン、と取り残された私と先生。


正直、あの男の子しか目に入っていなかったから希望の楽器はなかった。


かっこいいなと思う楽器はあるけど“やりたい”と思う感じではない。


どうしようかと考えあぐねていると……。



「……先生、あの楽器、なんですか?」


「ん?ああ、あれはね、ホルンだよ。金管楽器なんだけど脇役でね。あまり人気がないんだ。音は綺麗で私は好きなんだけど」