そんな私たちを見て豪快に笑う先生。


その姿にポカーンとしながらもワクワクした。ここで聞いたたった二曲で自分の気持ちがこんなにも変わるなんて思わなかった。


いつか自分もあんな風にかっこよく音楽を奏でたい。


いつか、あの男の子よりも上手くなりたい……。


この頃から密かにそんな思いも芽生えていた。



「ところで君たち。これから楽器体験があるんだけど、希望する楽器はある?」



ひとしきり笑った後、先生はそう尋ねた。


そういえば今日この後は個人練習って書いてあったっけ。


華奈と顔を見合わせ、先に華奈が口を開く。



「……私、サックス希望です!」


「サックスか。サックスだと……おーい、双葉!この子の楽器体験に付き合ってやってくれ」


「わかりました」



華奈は迷いなくサックスを希望する。


先生は、音楽室を見渡すと、1人の名前を呼んだ。先生の声にすぐに反応してこちらに来たのはさっき一曲目でソロパートを吹いていた先輩。