静かに頬を流れ落ちる涙。
悲しいとかそういうので泣いてるんじゃない。きっと、“男の子の音”で泣いてるんだ。
音楽で感動して泣いたのは。
生まれて、初めてだった。
***
「「「ありがとうございました!!」」」
合奏が終わり、挨拶をする先輩たち。
私たち一年生もつられて立ち上がり、お辞儀をした。
「これから個人練習に移ります。一年生の体験入部も兼ねてるから、見学者が来たら楽器を少しでもいいから触らせてあげて」
先生の言葉に、はい!と返事をする。
私と華奈はお互いに顔を見合わせた。
「……ねぇ。提案があるんだけど」
「ん?」
「私、吹奏楽部に入りたい!華奈も一緒に、音楽やろうよ!」
先に口を開いたのは私だった。
華奈に誘われて見学に来たのに、私の方が吹奏楽部の魅力にこんなにものめり込むなんて。
数分前の私だったら考えられなかった。
「……うん。私も、吹奏楽部に入りたい!琴乃と一緒だったら絶対楽しいもん!それに……私、先輩たちと一緒に音楽やりたい!」



