その声を聞いただけで心臓はドキドキした。地元の小学校じゃ有り得ないくらいの人数。


やる気の見える表情。


楽器を構える姿勢はまさに今から“戦が始まる”みたいな雰囲気が出ていた。ただ音楽を奏でるだけなのにみんなの気迫がすごくて、一瞬にして持っていかれた。


先生が指揮棒を振り下ろすと、一気に音が溢れ出す。


ーーパァーーン!!〜♪〜♪♪


軽やかなリズム、繊細な音、そして……みんな音楽を歌うように奏でていた。


楽しそうに。嬉しそうに。


目を閉じなくてもわかる。


この曲は、いったいどんな気持ちで演奏しているのかを。



「……ねぇ。あそこにいる男の子ってもしかして一年生?」


「え?」



音楽の世界に引き込まれ、聞き入っていると華奈がコソッと耳打ちしてくる。最初は言っている意味がわからなくて頭の中ははてなマークでいっぱいになった。


華奈の指さした方を見てみると、先輩たちの中に混ざって演奏している1人の男の子がいた。